- N.V.O.C.C.(貨物利用運送業者)とは?
- <B/Lについての質問-1> B/L(船荷証券)を紛失した時は?
- <B/Lについての質問-2> WAYBILLの特徴は?
- <B/Lについての質問-3> SURRENDER B/L (SURRENDERED B/L) とは?
- <B/Lについての質問-4> 「記名式船荷証券」と「指図式船荷証券」とは?
- <コンテナについての質問-1> S.O.C.とC.O.C.
- <コンテナについての質問-2> 海上コンテナに積載する貨物の重量制限は?
- 海上貨物保険について。
- 北米向け輸送形態について。
- 中央アジア向け輸送について。
1)N.V.O.C.C.(貨物利用運送業者)とは?
N.V.O.C.C.(Non Vessel Operation Common Carrier/貨物利用運送事業者)は、荷主との運送契約により、国内外を問わず、船舶・鉄道、自動車・航空の運送事業の中から、最適な輸送手段を利用し、荷主の貨物輸送を行うものを指します。様々な輸送手段の特性を組み合わせ、お客様にとって、幅広い輸送モードの選択を可能にします。単に、実運送を行うばかりでなく、その他、物流に関する様々なお客様のニーズに応えることができます。
尚、弊社は、多くの貨物を取り扱うことによって、実運送人(船会社・鉄道会社等)との優位な価格交渉ができ、お客様にとっての輸送におけるコストセーブを実現します。
日本では、「貨物利用運送事業法」において規定されており、実運送の利用以外に、荷主先までの集貨・配送を併せて行うか否かで、第一種と第二種に分類されています。第一種貨物利用運送事業は、国土交通大臣の「登録」、第二種貨物利用運送事業は国土交通大臣の「許可」を受ける必要があり、弊社は、貨物の集荷から配送まで、一貫して輸送サービスを提供できる、第二種利用運送事業者として許可を受けています。[↑]
2)<B/Lについての質問-1>
B/L(船荷証券)を紛失した時は?
B/Lは有価証券です。まず、紛失しないよう十二分に注意してください。万一、紛失或いは盗難に遭った場合には、当該B/Lの無効を宣言する手続き、つまり「除権判決」を裁判所より受ける必要があります。
「除権判決」を受けるには、証券の履行地を管轄する裁判所に公示催告を申し出、公示期間内に権利の申し出が無ければ、裁判所がその有価証券の無効を宣言、除権判決を下します。裁判所より判決文の交付を受けた申立人は、B/L上の権利を主張することができます。この合法的な手続きには、非常に長い時間(通常1年程度)を要することもあり、現実には、B/Lの再発行などの商習慣的措置にて、各船会社も対応しているようです。
但し、善意の第三者が、紛失した或いは盗難されたB/Lを取得し、B/L上の権利を主張した場合には、運送人は、そのものに対し貨物を引き渡さなければならず、簡単に再発行できるものではないことも確かです。[↑]
3)<B/Lについての質問-2>
WAYBILLの特徴は?
SEA-WAYBILLは、運送契約の証拠書類であり、貨物の受領書である「航空貨物運送状(AIR-WAYBILL)」と同じ考えから、1970年代より導入されるようになった「海上貨物運送状」です。
通常のB/L(船荷証券)のように有価証券ではない為、輸入貨物の引き取りに、オリジナルの提示は必要ありません。B/L未着による貨物引取りの遅延を解消でき、引き取り遅延から生じる貨物保管料の発生も防ぐことができます。有価証券であるB/Lを紛失した場合には、公示催告・除権判決といった手続きを取らなければなりませんが、SEW-WAYBILLの場合は、有価証券ではない為、仮に紛失しても、煩雑な法的手続きをとる必要はありません。貨物引渡し・輸入通関の迅速化、書類紛失リスクの回避という利点を持つSEA-WAYBILLですが、L/C契約の場合には、利用できない・好まれない場合が多くあります。
また、荷受人(CONSIGNEE)を特定する(「記名式」)必要があり、指図式(「TO ORDER」)での発行はできません。[↑]
4)<B/Lについての質問-3>
SURRENDER B/L (SURRENDERED B/L) とは?
通常のB/L(船荷証券)と同様、一度は、船会社より荷送人(=SHIPPER)に発行されます。その性質については、通常のB/L(船荷証券)そのもので、貨物の所有権を示す有価証券です。着地で荷受人(=CONSIGNEE)が貨物を引き取る為に、本来なら、B/L発行を受けたに荷送人は、裏書き(ENDORSEMENT)をし、荷受人(=CONSIGNEE)にB/Lを郵送する必要があります。
「SURRENDER B/L(SURRENDRED B/L)」とは、「元地回収された船荷証券」を指します。荷送人が裏書をしたB/Lを、発地の運送人に渡すことで、つまり「元地回収(=サレンダー/SURRENDER)」することで、着地での貨物引取りに、荷受人はオリジナルのB/L提出が不要となり、着地の運送人事務所も、B/Lの回収責任無く、貨物を引き渡すことができます。発地運送人に元地回収されたB/Lは、「SURRENDERED」というスタンプが押され、発地運送人から着地運送人事務所に、「B/Lを回収した」旨、通知されます。発地でB/Lを「元地回収(サレンダー)」することで、船荷証券の紛失や盗難といったリスクを軽減でき、また、着地での貨物引取りをスムーズにできます。B/Lより先に貨物が到着してしまう、アジアなどの近距離の輸出入の場合によく利用されていますが、L/C取引の場合には、原則、使用できません。[↑]
5)<B/Lについての質問-4>
「記名式船荷証券」と「指図式船荷証券」とは?
B/L(船荷証券)の荷受人(=CONSIGNEE)欄に「TO ORDER」或いは「TO ORDER OF SHIPPER」と記載されたものを”ORDER B/L”、つまり「指図式船荷証券」と呼びます。これに対し、荷受人の名前が明記されているB/Lを“CONSIGNED B/L(又はSTRAIGHT B/L)”、「記名式船荷証券」と呼びます。
大きな違いは、B/Lが流通するか否かです。「記名式」の場合は、B/L面上に記載された決められた荷受人に貨物を引き渡し、B/Lは流通しません。これに対し、「指図式」の場合は、裏書き(ENDORSEMENT)を行うことによって、B/Lが譲渡されます。
他に、「記名指図式船荷証券」と呼ばれる「ORDER OF _______ CO. LTD.」のように記載される場合もあります。[↑]
6)<コンテナについての質問-1>
S.O.C.とC.O.C.
通常、海上輸送で使用されるコンテナは、船会社、若しくはコンテナリース会社が所有するものを船会社が借り受け、荷主に貸し出す形式をとっており、C.O.C.(CARRIER’S OWN CONTAINER)と云います。それに対し、海上輸送コンテナの中で荷主自身が所有、或いは、NVOCCが用意し船積みされるコンテナのことをS.O.C.(SHIPPER’S OWN CONTAINER)と云います。
弊社でもロシア内陸地や中央アジア諸国への輸送に使用していますが、そのメリットとしては、(1)積み地の選択肢が広がる、(2)最寄りのデポに空のコンテナ返却が可能であることなどが挙げられます。
C.O.C.使用の場合は、多くの場合、VOSTOCHNYやVLADIVOSTOK港へコンテナ返却をする必要があります。但し、C.O.C.であれば、コンテナピックアップ時に同時に受け取ることができる搬入票及びコンテナシールを、S.O.C.ピックアップ場所以外の船会社指定場所に、取りに行く必要があります。[↑]
7)<コンテナについての質問-2>
海上コンテナに積載する貨物の重量制限は?
海上輸送における貨物の最大積載重量(=MAX PAYLOAD)は、「コンテナ総重量-コンテナ自重(=CONTAINER TARE WEIGHT)」により計算されます。
ISO(国際標準化機構)規格のコンテナは、総重量:30.480トンが世界的にも中心となっており、海上輸送において多く使用されています。例えば、40フィートドライコンテナの場合、「(コンテナ総重量)30.480トン-(コンテナ自重)約3.800トン」で、最大積載重量は約26.680トンになります。20フィートドライコンテナには、総重量が30.480トンの「30トンバン」以外に、総重量24.000トンのコンテナが、まだ多数使用されており、その最大積載重量は約21.800トンになります。(但し、海上コンテナの自重は、メーカー・材質により若干異なるため、最大積載重量も若干の違いがあります。)
日本国内の陸上輸送においては、道路交通法により、20フィートコンテナで総重量20.320トン、40フィートコンテナで24.000トンまでとされていましたが、貨物をフル積載したコンテナは、そのままでは陸送できないことを受け、3軸シャーシとトレーラーヘッドによる輸送であれば、20フィートで24.000トン、40フィートで30.480トンまでの輸送が合法となっています。
米国国内における重量規制では、トレーラーヘッド、シャーシ、タイヤ、コンテナ自重、積載貨物重量など全てを合わせ、80,000lbs(約36.288トン)を最大積載量と定めています。尚、各州がそれぞれ、道路交通法により重量制限を定めています。[↑]
8)海上貨物保険について。
国際間の輸送において、貨物は様々な危険(リスク)に晒されており、保険を掛けることは必要不可欠です。
貨物を積載した船舶の沈没・座礁・火災等の事故リスク、暴風雨・落雷等の自然災害リスク、破損・盗難等のリスク(以上、「マリンリスク」)、戦争リスク・労働組合のストライキ・暴動よるリスク(以上、「戦争・ストライキリスク」)、輸入先の政治的急変によるリスク・輸入企業の倒産等によるリスク(以上、「ポリティカル・信用リスク」)があり、海上貨物保険は「マリンリスク」「戦争・ストライキリスク」を、「ポリティカル・信用リスク」については貿易保険でカバーすることになります。
船会社が共同海損(G/A)を宣言した場合にも、損害の分担金に対し、保険会社は支払いを約束する保証状を荷主に発行します。保険をかけていない場合には、分担金の支払いを船会社より要求され、現金を支払わない限り、貨物を引き取ることはできません。損害事故があった場合には、裏書のある保険証券を持つ輸入者が、保険会社(クレームエージェント)に連絡し、保険求償手続きを行います。[↑]
9)北米向け輸送形態について。
北米向け輸送形態を表す用語を説明します。
【ミニ・ランドブリッジ(Mini Land Bridge = MLB)】
北米・カナダ西岸港(Los Angeles/Oakland/Tacoma/Vancouver等)まで海上輸送し、鉄道により、米国の東岸(New York/Savannah/Norfolk等)やメキシコ湾岸各地点(Houston等)、或いはカナダ東岸やMontreal・Torontoまで輸送する海陸複合輸送。MLBサービスは、All Waterに比べ輸送期間が短く、スピード面では優位性がありますが、コストは高くなります。
【オールウォーター(All Water)】
パナマ運河経由で、北米・カナダ東岸(New York/Savannah/Norfolk/Halifax等)に海上輸送するサービスを云い、MLBに比べ、コスト面ではメリットがある反面、リードタイムが長くかかります。
【インテリア・ポイント・インターモーダル (Interior Point Intermodal = IPI)】
米国・カナダ西岸港(Los Angeles/Oakland/Tacoma/Vancouver等)まで輸送し、鉄道・トレーラーにより、内陸地点(Interior Point)まで輸送する海陸複合輸送。
【リバース・インテリア・インターモーダル (Reverse Interior Point Intermodal = RIPI)】
米国・カナダ東岸港(New York/Savannah/Norfolk/Halifax等)、或いはガルフ港で荷揚げ後、米国・カナダ内陸地点まで西向きに鉄道・トレーラーにより陸送する海陸複合輸送。[↑]
10)中央アジア向け輸送について。
中央アジア諸国とは、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5カ国を指します。旧ソビエト連邦統治下では、これらの国々への物流は、極東ロシア経由シベリア鉄道(SLB)によるものが主流でしたが、ソ連崩壊後、中国を始めとするアジア諸国に対し門戸が開かれ、中国鉄道と自国鉄道を結びつけたルート“チャイナ・ランドブリッジ(CLB)”による物流ルートが構築されました。チャイナ・ランドブリッジ(CLB)が開通した当初は、中国「連雲港」だけが起点となっていましたが、現在では、「青島」・「天津(新港)」、「深?」の4つの港から、ブロックトレーンによる中央アジア諸国へのサービスが可能となっています。
日本発中央アジア向けには、中古車を始め、建設機器や電化製品などの品目が輸出されています。
弊社では、「青島」・「連雲港」経由による中央アジア向け輸送サービスをメインに展開しています。青島・連雲港からは、週7-10便程度の鉄道運行サービスがあり、中国の港到着後、鉄道への積替えがスムーズです。[↑]